【7月14日 AFP】国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)は13日、西アフリカ・マリにある土壁の建造物群について、治安上の脅威が遺跡の保全活動を妨げているとして、「危機にさらされている世界遺産(通称:危機遺産)」に登録した。また、ウズベキスタンにある世界遺産についても、観光インフラの影響に懸念を示した。

 マリの首都バマコ(Bamako)の北東570キロに位置するジェンネ(Djenne)旧市街には、紀元前250年からの人が居住している。建築物が泥でできているのが特徴。

 ユネスコは声明を通じて、治安の悪い地域に位置する同遺跡に懸念を示しつつ、「ここでの状況は、建築素材の劣化や都市化、遺跡の浸食などの問題に対して、保全策がとられるのを妨げている」と指摘した。

 ユネスコは声明で、「ここでの状況は、建築素材の劣化や都市化、遺跡の浸食などの問題に対して、保全策がとられるのを妨げている」と指摘し、同遺跡を取り巻く不安定な治安情勢に懸念を示した。

 治安に対する懸念について、ユネスコは詳しく言及しなかったが、マリでは4年前からイスラム武装勢力の脅威にさられている。ジェンネ旧市街地は1988年にユネスコの世界遺産(World Heritage)に登録された。

 他方で、ウズベキスタン南部のシャフリサブス(Shakhrisyabz)歴史地区も「観光インフラの過剰整備」を理由に危機遺産に登録された。

 この歴史地区には、テュルク・モンゴル系の指導者ティムール(Timur)が率いた15世紀の帝国時代の宗教的あるいは世俗的な建築物が多数存在している。

 委員会は、地区中心部の歴史的建造物の破壊やホテルなどの現代的施設の設置により、「シャフリサブス歴史地区に視覚的な不可逆的変更が加えられた」と指摘している。

 シャフリサブス歴史地区は、2000年に世界遺産に登録された。(c)AFP