【6月30日 AFP】名曲「サウンド・オブ・サイレンス(The Sound of Silence)」を手掛けてから約半世紀、米国人ミュージシャンのポール・サイモン(Paul Simon)さん(74)が、29日付の米紙ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)に掲載のインタビュー記事で引退を示唆するような発言をしている。

 インタビューでサイモンさんは、「終わりが近づいている。ショービジネスに対する興味がなくなった。少しもない」と述べている。

 サイモンさんの最新アルバム「Stranger to Stranger」の評判は上々で、シングルカットされた楽曲「Wristband」は、大学のラジオ局で最も多く流されている楽曲の一つだ。

 ただ、現在開催中の全米ツアーと10月から1か月間にわたって開催する欧州ツアーの後は、1年かけてゆっくり旅行をしたいと述べており、3番目の妻であるミュージシャン、エディ・ブリッケル(Edie Brickell)さんと一緒の旅行も悪くないと話した。

「手放すというのは、勇気のいることだ。手放したらどうなるのだろう。自分が誰なのかが分かるのだろうか?」と、サイモンさんは自らに問いかけるように語る。

 引退は、60年におよぶ輝かしいキャリアに幕が降りることを意味する。

 サイモンさんはこれまでに、米誌タイム(Time)の「世界で最も影響力のある100人」に選出されている他、グラミー賞(Grammy Awards)を10回以上受賞、さらにはロックの殿堂(Rock and Roll Hall of Fame)入りも2回果たしている。

 インタビューでは「名声」についても語っており、1960年代にはそれが「最悪の毒薬」と化すところを目の当たりにしたと述べている。

「それ(名声)は、エルビス・プレスリー(Elvis Presley)を殺し、ジョン・レノン(John Lennon)やマイケル・ジャクソン(Michael Jackson)も殺した。大きな名声を手にし、少なくともそれによって混乱させられて、非常に難しい局面に立たされなかった者を、自分は一人も知らない」とサイモンさんは話した。(c)AFP