【6月23日 AFP】休眠中だった超大質量ブラックホールが目を覚まし、星をずたずたに引き裂いてのみ込んでいる様子を、かつてないほど詳細に観測したとする研究報告が22日、発表された。

 天体がむさぼり食われる「潮汐破壊」として知られるこの現象は、恒星からはぎ取られたガスが、ブラックホールの中心付近にある渦の中で回転する際に放射される高エネルギーのX線の反射によって検出された。研究成果は、英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。

 論文の主執筆者で、米メリーランド大学(University of Maryland)ハッブル(Hubble)特別研究員のエリン・カーラ(Erin Kara)氏は、AFPの取材に「不活発なブラックホールから及ぼされる強力な重力効果の観測に成功したのは、今回が初めて」と話す。

 銀河の中心に存在する、いわゆる超大質量ブラックホールに関するこれまでの科学的知識の大半は、物質を活発に集めてのみ込んでいる比較的少数のブラックホールから得られたものだ。

 ブラックホールの約90%は不活発な休眠状態で、近づき過ぎたものをのみ込むために時折目を覚ますだけだ。

 恒星がこの不運に襲われた場合、エネルギーと光を渦巻き状に放射して消滅する。

 カーラ氏は、「大半の潮汐破壊は、高エネルギーX線波長域ではあまり放射を発しない」と説明する。そして、こうした現象はこれまでに3件しか記録されておらず、「この現象をピーク時に観測で捉えたのは、今回が初めて」と述べた。

 研究チームによると、「スウィフトJ1644+57(Swift J1644+57)」と命名された不活発な巨大ブラックホールから発せられた、この現象の証拠となるX線は、米航空宇宙局(NASA)の観測衛星スウィフト(Swift)によって検出されたという。

 さらに、欧州宇宙機関(ESA)、日本、NASAの3基の衛星を用いて現象を観測し、「素晴らしいデータ」の宝の山を得ることができた。