「山を殴るようだった」 モハメド・アリ、ある印ボクサーの回想
このニュースをシェア
■「俺が怖くないのか?」
「私が拳を構えると、アリは言い続けた。『俺とボクシングをしたいのか? 俺とボクシングをしたいのか? 俺が怖くないのか? 俺が怖くないのか?』ってね」。カーンさんは、こう答えたという。「いいや、アラー(神)は恐れるが、あなたは怖くない。私はインドのハルーン・カーンだ。あなたはボクサーで、私もそうだ。さあ、打ち合おう」
「アリは私をからかって、『何とボクシングをするんだ、オレンジか、バナナか?』と聞いてきた。私は、ボクサーとボクシングをする、いつでもあなたと戦える、と返したよ」
「冗談を口にする余裕なんてなかったから、真剣に戦った」というカーンさん。アリ氏はカーンさんの技量に驚いた様子だったという。「でも、アリに向かってパンチを放つのは、まるで山を殴っているようだった」
「何も起こらなかった。彼は微動だにせず、笑っているだけだった。何なんだ、この男は、と思ったね」
ヘビー級世界王者を3回獲得したアリ氏だが、80年当時は既に全盛期を過ぎていた。それでも、引退までにはまだ1年を残していた。
アリ氏は第1ラウンドではエキシビション試合の余裕を見せ、カーンさんを軽くあしらってみせた。しかし、すぐにカーンさんは世界王者の全力を思い知ることになる。観客がボクシングを見せろと騒ぎ出したためだ。「第2ラウンドから、彼は本気になり始めた。恐ろしく素早かった。次々とジャブを打ち込んできて、1分半もすると私の顔全体が腫れ上がった」と、カーンさんはそのときのアリ氏の動きをまねしながら説明してくれた。