■トンネルにもズラタン

 ミロシェビッチ会長は、若者たちへのメッセージとして、イブラヒモビッチに可能なことは誰でもできると話している。

 FBKバルカンの本拠地で、労働階級が暮らすマルメ郊外のローセンゴール(Rosengard)には、イブラヒモビッチの存在が至る所に感じられる。現在は赤レンガの建物が立ち並ぶこの町に、イブラヒモビッチが訪れることはめったにないが、同選手の不敵な笑みは、地元のトンネルにも描かれている。

 ユベントス(Juventus)、インテル(Inter Milan)、FCバルセロナ(FC Barcelona)、ACミラン(AC Milan)など、欧州の名門クラブを渡り歩くイブラヒモビッチとのつながりについて、地元の人たちは誰もが喜んで自慢しあう。

 34歳になった現在も、スウェーデン代表の大黒柱として欧州選手権2016(UEFA Euro 2016)に臨むイブラヒモビッチは、同国歴代1位となる通算62得点を挙げている。スウェーデンの年間最優秀選手にも、計10度選出されている。

 ローセンゴールの子どもたちは、学校が終わると「ズラタン・コート」に直行し、ピッチでボールを蹴る。ここには、イブラヒモビッチのスポンサー、米スポーツ用品大手ナイキ(Nike)のロゴマークが金色で描かれている。

 ミロシェビッチ会長は、「ズラタンのことは誰もが知っている。それなのに(スウェーデン)国王のことは、誰でも知っているわけではない」とジョークにする。

 会長が、「うちのチームで1980年から81年に生まれた選手は、全員が旧ユーゴの移民だ」と話すように、スウェーデン第3の都市、マルメで生まれたイブラヒモビッチも、母親がクロアチア系で、父親がボスニア系だ。

 それでも、チームの憧れはイブラヒモビッチに変わりなく、24歳の選手は「欲しいものには自分のすべてを注ぐこと。そうすれば、ズラタン・イブラヒモビッチのようになれるチャンスはある」と話している。

 厳しい環境で育ちながら、サッカー界のトップに上り詰めた移民の息子であるイブラヒモビッチは、失業率の高いこの町で暮らす子どもにとっての目標で、「トップの世界に仲間入りできるという生きた証拠」と、26歳の住人は語った。(c)AFP/Camille BAS-WOHLERT