【6月3日 AFP】米当局は2日、アフリカゾウの象牙製品の商取引をほぼ全面的に禁止すると発表した。アフリカゾウ保護を推進する長年の活動が実を結んだ形だ。

 各自然保護団体は、この米当局の動きを歓迎している。アフリカに生息するゾウ45万頭のうち、毎年3万5000頭あまりが主に象牙目的で殺されていると推定されている。

 サリー・ジュエル(Sally Jewell)米内務長官は、取引の禁止について、「ゾウ密猟の惨劇と、それが野生個体群に及ぼしている悲惨な影響に終止符を打つことに対して、米国が率先して全力で取り組むことを明確に示している」と述べた。

 ただ、米国でのアフリカゾウ象牙市場を制限する今回の動きではあるが、正式書類がある骨董品などは免除の対象となる。米国は、違法な象牙製品の消費国としては中国に次いで世界第2位だ。それでも、米魚類野生生物局(FWS)は、7月6日の発効以降は、米国全州でのアフリカゾウ象牙製品の輸入、輸出、販売などが「大幅に制限される」としている。

 FWSの声明によると、大半の商取引が禁止される一方で、楽器、調度品、銃器などを含む一部の「既存の加工された」品物については、含まれる象牙が200グラム未満で、また他の特定基準を満たすものに関しては例外とされるという。

 また、米連邦法「絶滅の危機に瀕(ひん)する種の保存に関する法律(Endangered Species Act)」の下で「骨董品」と定義される品物も例外とされる。作られてから100年以上が経過しているなど、いくつかの必要条件を満たすものは骨董品とみなされる。

 ジュエル内務長官は、「他の国々が、同様の規制を実施することで、血塗られた象牙の流れを食い止めるための迅速な、断固とした行動を取ることを望んでいる。われわれの孫やその子どもたちが、この象徴的な動物種を知らないなどということがないようにするためには、それが不可欠となる」と話した。(c)AFP/Jean-Louis SANTINI