ウエーターは元泥棒、南アフリカの刑務所レストラン
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【6月9日 AFP】南アフリカのケープタウン(Cape Town)は、多種多様なレストランがあることで知られている。中でも最も変わっているのは、同国の民主化を推進した故ネルソン・マンデラ(Nelson Mandela)元大統領も収監されていた、ポルスモア刑務所(Pollsmoor Maximum Security Prison)内のレストランであることは間違いない。
「一緒に食べよう」とのスローガンを掲げるポルスモア・レストランは、一般人に開放されている。ウエーターや、ほとんどの厨房スタッフは受刑者だ。
ポルスモア刑務所は、マンデラ氏が27年間の獄中生活の大半を過ごし、現在は博物館となっているロベン島(Robben Island)のような観光地ではない。南アフリカの中でも最も過酷な刑務所の1つだ。
57歳のビジネスマン、アーノルド・ダニエルズ(Arnold Daniels)さんは、妻のメリーナ(Merina)さんと共にこのレストランの常連だ。「サービスは良く、料理もおいしくてとても安いんです」と話す。
30人ほどが座れるレストランの内装は、ちょうど良い具合に、シンプルだ。
エプロンの下にオレンジ色の囚人用ズボンを身に着けたウエーターが客を元気に出迎え、ステーキを薦める。
メニューは「伝統的なトリップ(牛の胃袋)」から、鶏肉のカツレツ、牛肉のコルドン・ブルー、シーフードの盛り合わせとさまざま。価格は一番高いもので60ランド(約430円)だ。
このウェイターは、窃盗罪で禁錮4年の有罪判決を受け服役中だという。残りの刑期は7か月で、釈放後は接客業で働きたいと考えている。
レストランは午後2時に閉店。客は乗ってきた車や刑務所の出口に向かい、ウェイターやコックは監房に戻る。朝食の営業が始まるまで、その中で過ごすのだ。(c)AFP/Lawrence BARTLETT