【6月2日 AFP】米大統領選の共和党候補指名を確実にしたドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が設立した「大学」について、無学な人々を搾取し、詐欺同然の強引な売り込みで消費者をだます事業だったと元職員が証言していることが、新たに公開された裁判文書で明らかになった。

「トランプ大学(Trump University)」は営利目的の事業で、トランプ氏の名の下で起業について学べるとうたい2004年に開校したが、2010年に閉校。これまでに複数の訴訟を起こされており、トランプ氏自身が法廷に召喚される可能性も出ている。

 同事業の営業部門責任者だったロナルド・シュナッケンバーグ(Ronald Schnackenberg)氏は1日に公開された証言文書の中で、「トランプ大学は、消費者が不動産でもうける手助けをするとうたっていたが、実際の関心は、非常に高額なセミナーを可能な限りの人に売りつけることにしかなかった」と述べている。同氏はトランプ大学が「詐欺的かつ不誠実」な事業を行っていると感じ始め、2007年に退職したという。

 別の元職員、ジェイソン・ニコラス(Jason Nicholas)氏は、セミナーで教えていたのは「トランプ氏の『右腕』を自称する不適任な人材」で、不動産の運用や取引の経験がほとんどまたは全くなく、倫理に反するビジネス手法を教えていたと証言。「うわべだけの、完全なうそだった」と述べている。

 さらに裁判所は「プレーブック」と呼ばれる社内マニュアルを公開。その中には、トランプ大学に興味を持った人々を最も高額なコースやプログラムに誘導する営業手法が書かれていた。こうしたコースは、トランプ氏が富を築いた秘訣(ひけつ)を明らかにするとうたい、授業料は高いもので3万5000ドル(約380万円)だった。(c)AFP