【5月29日 AFP】ブラジル保健省は28日、ジカ熱のために今夏開催予定のリオデジャネイロ五輪の延期や開催地を変更する計画はないと発表した。27日には、リオ五輪の延期か開催地変更を求めて世界各国の専門家150人が署名した世界保健機関(WHO)宛ての書簡が公開されていた。

 WHOはブラジルで冬に当たる8月にジカウイルスに感染するリスクは「最小」になるとしており、ブラジル保健省は声明で今後もWHOの指導に従っていくと述べた。日刊紙グロボ(O Globo)は28日、リオ五輪組織委員会の関係者が、五輪は予定通り開催されるとコメントしたと伝えた。

 27日に公開された書簡で、医師や科学者、研究者など世界各国150人の専門家はWHOによる評価を否定し、ブラジルで2番目にジカウイルス感染者数が多いリオデジャネイロでの五輪開催は「無責任で非倫理的」だと述べた。米国、英国、カナダ、ノルウェー、フィリピン、日本、ブラジル、南アフリカ、トルコ、レバノンなどの専門家が署名した書簡は、「ブラジルで流行しているジカウイルスは、科学史上前例のないほど人間の健康に害を及ぼすものだ」と警告している。

 ジカウイルスに感染すると、胎児の脳や頭部が異常に小さい状態で生まれる先天性異常、小頭症の原因となる。ブラジルでは昨年ジカウイルス感染が流行し始めてから現在までに、治療不可能な小頭症の新生児約1300人が生まれている。

 WHOは今月、五輪に参加、または観戦する人々の大半にとって危険はないと述べたものの、ブラジルへの渡航予定者に蚊に刺されないよう注意を呼びかけているほか、妊娠中の女性はリオデジャネイロを含むジカウイルス流行地域を避けるべきだと述べた。

 米疾病対策センター(CDC)のトム・フリーデン(Tom Frieden)所長も26日、「(リオ)五輪を中止、または延期すべき公衆衛生上の理由はない」と述べていた。(c)AFP