マンスール師殺害、アフガン和平に対する米国の期待薄を反映か
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【5月26日 AFP】 アフガニスタンの旧支配勢力タリバン(Taliban)の最高指導者アクタル・マンスール(Akhtar Mansour)師の米軍による殺害は、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領の大幅な政策転換を示し、アフガニスタンの治安部隊が報復攻撃を受けるリスクを冒しても、パキスタンのタリバン幹部らを標的にするという新たな意欲を強調している。
この作戦はまた、タリバンを和平交渉のテーブルに着かせるという考えを、オバマ大統領が少なくとも当面、捨てたことも示している。
米軍は21日、アフガニスタンとパキスタンの国境地帯で無人機攻撃を実施し、マンスール師を殺害。パキスタン領内で米国がタリバンの最高指導者を攻撃したのは今回が初めてだ。
マンスール師はかつて、アフガニスタン政府との和平交渉を支持していたが、タリバンの最高指導者になって以来、交渉への参加を拒否。米国務省のマーク・トナー(Mark Toner)副報道官は、「タリバンにある選択肢はただ一つ、紛争の平和的解決を追求することだけだ」と述べた。
だが、中東研究所(Middle East Institute)のパキスタン・アフガニスタン担当の元アナリストで、パキスタン・プログラムの元ディレクターでもあるマルビン・ ワインボウム(Marvin Weinbaum)氏は、マンスール師の死は、米国がそうした期待を持っていないことを示していると語る。
「和平交渉はどのみち行き詰まっていた。今回の作戦は交渉の終わりを告げただけだ」と指摘。「米国は、この作戦により和平に向けた新たな扉が開く可能性があるなどと公の場で言っていても、タリバンを近いうちに交渉のテーブルに着かせるチャンスがあると考えていたら、この作戦を行わなかったはずだ」と説明した。
マンスール師の死は、タリバンを混乱の中に陥れた。同師が新しい最高指導者になったのは、わずか9か月前だ。
アフガニスタン情勢について詳しい米国平和研究所(United States Institute of Peace)のスコット・ウォーデン(Scott Worden)氏は、マンスール師の死が短期的に攻撃の波を引き起こす可能性があると予測。
「タリバンは、力を誇示するために一層の努力を強いられるため、交渉のテーブルにすぐに着くことはないだろう」と語った。(c)AFP/Laurent Barthelemy and Thomas Watkins