■きっかけはロンダ・ラウジー

 MMAで女性が注目されるようになったのは、8年前に北京五輪の柔道女子70キロ級で銅メダルを獲得したロンダ・ラウジー(Ronda Rousey、米国)が、総合の道へ転向することを決めてからだ。

 現在29歳のラウジーは、世界一有名な女性格闘家の地位に君臨。また、世界で8番目に収入が高い女性アスリートで、年収は広告収入350万ドル(約3億8000万円)などを含めると、650万ドル(約7億円)に上る。

 リング上での圧倒的な存在感、その知名度を存分に生かした戦略、ビジネスパーソンとしての直観力、そしてその美貌(びぼう)が、ロンダを世界的に影響力のあるアスリートに押し上げた。

 近年では「ロンダ・ラウジー効果」で、MMAに挑戦する女性も増えている。

「(ラウジーは)間違いなく、少女や女性たちがMMAに興味を持つきっかけになった人物」というのは、MMAを長年取材してきたジョシュ・グロス(Josh Gross)さんだ。

「ロンダがMMAの女性人気を高めたのは疑いようもない事実で、暴力的で無謀、残忍という見方も変わっています」

 ラウジーは、女性がMMAへの挑戦を躊躇(ちゅうちょ)するべきではないと考えており、グロスさんも「(レッスンを受けている)彼女たちは、自分があんな場所に来るとは思いもしなかったでしょう。ロンダは彼女たちのヒーローですね」と話している。