【5月13日 AFP】フランスの検察当局は12日、2020年の東京五輪招致への支持を取り付けるために、国際陸上競技連盟(IAAF)のラミーヌ・ディアック(Lamine Diack)元会長の息子に、280万シンガポールドル(約2億2000万円)が支払われた疑いがあると発表した。

 仏検察は、ディアック元会長の息子であるパパ・マッサタ・ディアック(Papa Massata Diack)氏の所有するシンガポールに拠点を置く会社に対し、2億円を超える金が振り込まれたとしている。ラミーヌ・ディアック氏とIAAFのコンサルタントを務めていたパパ・マッサタ・ディアック氏は、フランス当局から汚職の罪ですでに起訴されている。

 日本政府はこの発表を前に、東京五輪招致は「クリーン」なものだったと見解を述べている。

 国際オリンピック委員会(IOC)は2013年9月、イスタンブール(Istanbul)やマドリード(Madrid)と争った東京を2020年の五輪開催都市に選出したが、当時、ラミーヌ・ディアック氏はIOCの委員を務めていた。

 汚職疑惑に対する捜査は、ロシア人選手のドーピング違反の隠蔽(いんぺい)をディアック親子が企てた疑いに関連するもので、検察側は資金洗浄がフランス・パリ(Paris)で行われた可能性があるとしている。

 検察の発表によると、2013年7月と10月に日本で開かれた銀行口座から「2020年東京五輪招致」の名目で、合わせて280万シンガポールドルがシンガポールにある「ブラック・タイディングス(Black Tidings)社」に振り込まれたという。

 一方で英紙ガーディアン(Guardian)は11日、パパ・マッサタ・ディアック氏に関連する口座に130万ユーロ(約1億6000万円)が送金され、これをフランス当局が捜査していると報じている。

 同紙は、シンガポールの秘密の銀行口座へ「東京五輪の招致委員会、もしくはその代理から130万ユーロが支払われたようだ」と報じ、加えて「2029年までIAAFと包括的なスポンサー契約を結んでいる日本の広告代理店電通(Dentsu)の役割にも一石が投じられる」としている。

 同紙はまた、シンガポールの銀行口座は「スイス・ローザンヌ(Lausanne)に拠点を置く電通の子会社であるアスリートマネジメント・アンド・サービス(Athlete Management and Services、AMS)社のコンサルタント」が所有するものだと伝えている。

 電通側はAFPの取材に対し報道を否定。広報担当者は「AMSはわれわれの子会社ではなく、コンサルタントを雇ったことは決してない。フランス当局から捜査も受けておらず、協力の要請も無い」としている。(c)AFP