【4月28日 AFP】イングランド・プレミアリーグで奇跡の優勝を目指すレスター・シティ(Leicester City)の健闘は、世界中の人々を引きつけている。そのことは、記者室を一目見るだけでわかる。

 レスターがスウォンジー・シティ(Swansea City)に勝利した先日の試合では、遠くフィンランドやトルコ、韓国、オーストラリアの記者が試合前の食事の列に交ざった。日本からはざっと10人もの記者が机を囲み、ジェイミー・バーディー(Jamie Vardy)が出場停止で不在のなか、岡崎慎司(Shinji Okazaki)がどれだけやってくれるだろうかという話をしていた。

 昨シーズン、降格を免れるのがやっとだったチームは、今ではリーグ制覇まであと勝ち点3のところへたどり着いている。そして彼らのシンデレラストーリーは、意外な場所でも人々の心をつかんでいる。

 米放送大手のNBCで、サッカーの主席記者を務めるジョー・プリンス・ライト(Joe Prince-Wright)氏は、「米国でレスターをメインにした記事を書く人間なんて、去年は一人もいなかった。レスターを真面目に取り上げる人間も、一人もいなかった」と話す。

「ところが今シーズンは信じられないことが起こっている。(米ナショナル・フットボール・リーグ〈NFL〉のニューイングランド・ペイトリオッツ〈New England Patriots〉に所属するQB)トム・ブレイディ(Tom Brady)のようなNFLの選手たちが、彼らにメッセージを送っているんだから」

「そして、いきなりのこの大盛り上がりだ。誰もが彼らの弱者の物語を追っている。米国人はこういう物語が大好きだからね」

「ほとんどの人は、自分の(応援している)チームがあるわけじゃない。ところが、米国のど真ん中の小さな町で、トラクターを運転しているような人たちが、レスターのユニホームを着たり、タオルマフラーを巻いたりしてフォクシーズ(Foxes、レスターの愛称)を応援している写真が送られてきているんだ」

 こうした状況をよく表しているのが、NBCスポーツが先日ウェブサイトへアップロードした動画のタイトル、その名も「レスター・シティ人気に乗るために知っておくべきこと」だろう。

 米スポーツ専門局のESPNは、敏腕記者のライト・トンプソン(Wright Thompson)氏を派遣し、シーズン最終盤のレスターの戦いを長期取材させている。4-0でレスターが勝利したスウォンジー戦後、同氏はAFPに対して、「しばらくここにいるよ!」と叫んでいた。