■「悪い知らせ」

 村に近いノボズイプコフ(Novozybkov)の町の病院は、数少ない医師の診察を受けるのを待つ子どもやお年寄りであふれている。

 1986年、同町では住民3万人に対する避難措置はとられなかった。外科医のビクトル・ハナエフ(Viktor Khanayev)氏によると、病院の患者の3分の1が、放射線が原因で発症または悪化した疾病や奇形の治療を受けに来院している。

「多くの人たちが治療を受けることができない状況だ。政府が費用を負担する薬はすでに効かなくなっており、高価な薬を買うことを余儀なくされている」(ハナエフ氏)

 長年にわたり汚染地域とみなされてきたノボズイプコフは、今年7月に正式に「居住可能」地区に指定される。

「これは悪い知らせだ」とハナエフ氏。「人々は、今まで無料だった薬に代金を支払うことを強いられる。夏には、子どもたちをサナトリウムに入れられなくなる」

 グリーンピースによると、ロシアでは2011年に一部の飲食物の放射線検査が撤廃され、放射能に汚染されたブリャンスク州産製品が数多く全国の食料品店に流通した。

 また弁護士のアレクサンドル・ゴボロフスキー(Alexander Govorovsky)氏は、製材業者らが汚染された森林から材木を切り出していると指摘。消費者に害を与えうる行為だとして、同州林政部に告発した。

「人々は、放射能を帯びた飲食物を口にし、政府の怠惰のせいで放射能と共に暮らしている」とゴボロフスキー氏は語った。(c)AFP/Anaïs LLOBET