【4月21日 AFP】15-16イタリア・セリエAは20日、第34節の試合が行われ、土壇場で主将フランチェスコ・トッティ(Francesco Totti)が2得点を挙げたASローマ(AS Roma)は3-2でトリノ(Torino FC)に逆転勝利した。信じられないような光景を目にしたファンは、スマートフォンを手に涙を流し、同僚は「映画のようだった」と振り返っている。

 この日のローマは、アンドレ・ベロッティ(Andrea Belotti)とホセフ・マルティネス(Josef Martinez)にゴールを許すと、試合終了まで4分を残し、1-2とトリノを追いかける展開になっていた。

 後半41分、最後の望みを託すようにローマ一筋のベテラン、トッティが投入されると、スタジアムは大歓声に沸いた。これには、2005年から2009年まで、スタディオ・オリンピコ(Stadio Olimpico)でのホームゲームが常に満員になっていた時代を知るルチアーノ・スパレッティ(Luciano Spalletti)監督も、「スタジアムで聞こえるトッティへの応援はすさまじかった」と言わざるを得なかったようだ。

 鳥肌が立つような光景はさらに続く。セイドゥ・ケイタ(Seydou Keita)と交代でピッチに入ってからわずか23秒後、ミラレム・ピャニッチ(Miralem Pjanic)のFKからファーに流れた球を、トッティが押し込んだ。

 これで同点に追いついたローマは、さらに後半44分、エリア内で相手選手のハンドを誘いPKを獲得。この雰囲気の中でボールを蹴れるのは、一人しかいなかった。

 トッティのシュートは、トリノのGKダニエレ・パデッリ(Daniele Padelli)の指先をかすめたものの、見事ネット左隅に突き刺さり、暗い表情でベンチを温めるトッティに見慣れていたホームの観客は、歓喜に沸いた。

 この日の2得点でトッティは、リーグ戦通算でのゴール数を247に伸ばした。セリエA歴代最多得点記録は、シルヴィオ・ピオラ(Silvio Piola)氏が持つ通算274得点となっている。

 同僚のアレッサンドロ・フロレンツィ(Alessandro Florenzi)が「何て言えば良いのかな。長編映画のエンディングのようだった」と感動を語る中、トッティ本人は「良かったよ」と、あっさりとした様子でスタジアムを去った。

 同日の試合では、ユベントス(Juventus)も3-0でラツィオ(SS Lazio)に快勝して首位を守った。勝ち点9差の2位にナポリ(SSC Napoli)、さらに同5差でローマが続いている。(c)AFP/Justin DAVIS