【4月14日 AFP】米国の公民権運動を象徴する歌「ウィ・シャル・オーバーカム(We Shall Overcome、勝利を我らに)」を著作権の消滅した「パブリックドメイン」にしようと、地元のキリスト教団体が裁判に訴えている。訴訟を通じて著作権の無効を認める和解が成立した「ハッピーバースデー・トゥー・ユー(Happy Birthday to You)」の先例に倣いたい考えだ。

 米カリフォルニア(California)州に本拠を置き、ブラジルでストリートチルドレンの問題に取り組むキリスト教団体「ウィ・シャル・オーバーカム財団(We Shall Overcome Foundation)」は、この曲を使用するドキュメンタリーを制作する一方で、著作権の無効化を求める訴訟を起こした。

 財団によると、米ニューヨーク(New York)の出版社、リッチモンド・オーガナイゼーション(Richmond Organization)とラドロウ・ミュージック(Ludlow Music Inc)は財団に曲の使用権を認めず、著作権が侵害された場合、最高15万ドル(約1600万円)の罰金が科される恐れがあると警告してきたという。

「ウィ・シャル・オーバーカム」は、制度的な人種差別の撤廃を求めてマーティン・ルーサー・キング(Martin Luther King Jr.)牧師が率いた非暴力の公民権運動で愛唱された。訴訟では、同曲はアフリカ系米国人が歌っていた19世紀の霊歌に由来し、20世紀初めに労働運動のプロテストソングになったと主張している。

 ウルフ・ホールデンスタイン・アドラー・フリーマン(Wolf Haldenstein Adler Freeman)法律事務所のパートナーで、今回の訴訟を担当する弁護士ランドール・ニューマン(Randall Newman)氏はAFPの取材に「米議会図書館(Library of Congress)によれば同曲は20世紀で最も重要な歌とされており、公民権運動のいわばテーマ曲だ」と話している。(c)AFP