アイスランド海賊党、国政のかじ取り目前 パナマ文書も追い風に?
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【4月14日 AFP】2012年に小さな市民運動団体として結成されたアイスランドの海賊党(Pirate Party)が今、予想を裏切る大きな支持を得て、政権奪取も狙える立ち位置につけている。
世界中で行われていたオフショア取引の実態を暴露した「パナマ文書(Panama Papers)」に同国の富豪や有力者たち数百人の名前が載っていたことに、多くの国民が怒りを募らせる中、海賊党は最近の世論調査で、有権者の43%が支持しているとされている。
政治の透明性やインターネット上の自由、著作権改革を訴える海賊党が手本にしているのは、2006年に結成されたスウェーデンの海賊党だ。
アイスランド海賊党を結成したのは、内部告発サイト「ウィキリークス(WikiLeaks)」の活動家で詩人のビルギッタ・ヨンスドッティル(Birgitta Jonsdottir)党首(48)。かつては別の小政党「市民運動(Citizens Movement)」に所属し、09年に国会議員に選出されたが、同党が解体された後に新党を立ち上げた。
「彼女は自分探しをしていた。反骨精神があり、海賊党を結成する考えがあった。そして党はすぐに支持を集めた」と、レイキャビク大学(University of Reykjavik)のステファニア・オスカルスドッティル(Stefania Oskarsdottir)教授(政治学)は言う。
2013年の総選挙で、結成したばかりの海賊党は何とか3人を国会へ送り込むことができた。アイスランドでは2008年の金融危機で景気後退に陥り、多数の人が負債をしょい込んだことを機に、多くの抗議政党が生まれたが、海賊党はそのどれよりも高い支持を集め、政治アナリストたちを驚かせ続けている。
海賊党の最終的な目標は、同国の古い政治体制を打ち破ることであり、右派と左派に分断された政治を終わらせることだ。
海賊党はフラットな組織にこだわっており、7人の委員、7人の代理人、交代制の委員長から成る執行委員会以外は、ほとんど上下関係がない。
アイスランドではデンマークから独立した1944年以来、1党だけで議会の過半数が占められたことはない。パナマ文書問題を受けて今秋に前倒し実施されることになった総選挙で、有権者の関心事の一つは、どのような連立政権が誕生するのか、という点になるだろう。
リバタリアン、極左活動家、中道または左派のリベラル、サイバー活動家から構成された海賊党と連立を組む可能性を公式に宣言している党はひとつもない。海賊党の方から連立相手として求めている党もない。
「私たちはおそらく、左派と組むでしょう。右派に対する信用はすでに失われました」と、海賊党のオスタ・グズルン・ヘルガドッティル(Asta Gudrun Helgadottir)議員は言う。
アイスランドでは先週、オフショア取引に関するパナマ文書の流出で名前が浮上したシグムンドゥル・グンロイグソン(Sigmundur Gunnlaugsson)首相が辞任。同じ進歩党のシグロウル・ヨハンソン(Sigurdur Johannsson)副党首が新首相に就任した。
しかし、怒れる国民は中道右派内閣の総辞職と、総選挙のさらなる早期実施を求める声を強めている。(c)AFP/Hugues HONORE