【4月10日 AFP】(更新)ボクシング、WBOインターナショナル・ウエルター級王座決定戦は9日、米ラスベガス(Las Vegas)のMGMグランド・ガーデン・アリーナ(MGM Grand Garden Arena)で行われ、この試合が現役ラストマッチとなるマニー・パッキャオ(Manny Pacquiao、フィリピン)が、判定の末に3-0(116-110、116-110、116-110)でティモシー・ブラッドリー(Timothy Bradley、米国)を下し、有終の美を飾った。

「世紀の一戦」とうたわれた昨年のフロイド・メイウェザー・ジュニア(Floyd Mayweather Jr.、米国)戦以来の一戦に臨んだパッキャオは、洗練されたパフォーマンスで、ブラッドリーから2度のダウンを奪い、21年間の現役生活に終止符を打った。

 プロ通算66戦目の一戦を前に、パッキャオは母国での政治活動に集中するためこのファイトを持って現役を引退すると表明していた。

 より活発な試合をみせると約束していたパッキャオは、その言葉通りのパフォーマンスを見せ、代名詞のコンビネーションでブラッドリーを圧倒した。

 序盤はブラッドリーが警戒して距離を取る中、パッキャオが手数をかけるという戦術的な戦いの様相を呈した。第5ラウンドに入っても自信たっぷりの様子のブラッドリーだったが、パッキャオはコンビネーションパンチを打ち込み、しっかりと得点を加算した。

 このラウンドを終えてコーナーに戻ったブラッドリーに対し、トレーナーのテディ・アトラス(Teddy Atlas)氏は、「おまえはおちょくっているのか」と叱責し、ハッパを掛けていた。

 しかしその後も流れは変わらず、6回にパッキャオはカウンターパンチを打ち込み、このラウンドも優勢。

 すると、7回にパッキャオは左フックで顎をとらえてブラッドリーをキャンバスに送り、それまで築いていたリードをさらに広げた。

 さらに9回にはブラッドリーを誘い出して再びの左フックでよろめかせると、さらに左を打ち込んでこの日2度目のダウンを奪い、勝利を決定づけた。

 2度のダウンを奪われた後、ブラッドリーはパッキャオにプレッシャーを掛けようと試みたものの、パッキャオはこれをいなし、そのまま勝利を手にした。

 試合後、予定通りに引退するのかと問われたパッキャオは、「そのつもりだ。この試合の後に引退すると家族と約束した。人々に仕え、助けることを引退後は楽しむだろう」と応じた。

 そして、「ボクシングファンのみなさん、そして特にフィリピンの方々に感謝します。みなさんの支援や力添えを本当にありがたく感じています」と、ファンに別れのメッセージを告げた。

「ブラッドリーは、好ボクサー。王者であり男だ。今夜の試合は簡単じゃなかった」と続けたパッキャオは、その後ブラッドリーとリング上で抱き合うと、10日の朝に朝食をともにする約束を交わした。(c)AFP