【3月25日 AFP】パレスチナ自治区ヨルダン川西岸(West Bank)で24日、イスラエル兵が、兵士襲撃事件の容疑者とされる負傷したパレスチナ人の男(21)の頭部を撃ち射殺する出来事があった。射殺場面を捉えた動画はインターネット上で拡散し、非難の声を集めている。

 イスラエル人とパレスチナ人との間では昨年10月以降、暴力事件が相次いでおり、この動画によって状況がさらに悪化する恐れがある。

 動画には、ヨルダン川西岸ヘブロン(Hebron)で、負傷し路上に横たわるパレスチナ人の男が写されている。男は別の男と共にイスラエル兵を刃物で刺したとされ、兵士に撃たれたとみられる。その後、問題のイスラエル兵が理由なく男の頭部を撃ち抜き、射殺した。

 動画をネットに投稿したイスラエルの人権団体「ベツェレム(B'Tselem)」の広報担当者はAFPに対し、イスラエル兵の発砲は「処刑」に当たると非難。国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)も、兵士の行為を正当化する理由はなく、戦争犯罪の可能性を念頭に捜査すべきだと主張した。

 イスラエル軍は、この兵士の身柄を拘束し、調査を開始したと発表。モシェ・ヤアロン(Moshe Yaalon)国防相は「最大限の厳格さ」で対処すると言明した。(c)AFP/Joe Dyke