【3月21日 AFP】女子テニス、世界ランク1位のセレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)は、BNPパリバ・オープン(BNP Paribas Open 2016)の大会ディレクターが、女子は男子テニスの人気に便乗していると表現したことについて、「不愉快」だと抗議した。

 元テニス選手のレイモンド・ムーア (Raymond Moore)氏は、20日朝に行われた記者会見で、「もし私が女子選手だったら、毎晩ひざまずいて神に感謝するだろう。テニス界をけん引する、ロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)やラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)が生まれてきたことをね」と発言した。同氏はその他にも、女子ツアーには魅力的な容姿をした選手がいるなどとコメントしている。

 ビクトリア・アザレンカ(Victoria Azarenka、ベラルーシ)との決勝を直後に控え、四大大会(グランドスラム)のシングルスを21度制している女王セレーナは、この問題発言を痛烈に批判した。

「言うまでもなく、どんな女子選手も、ひざまずいてありがたがる必要はない」

「毎日たくさんの方が、私や姉(ヴィーナス・ウィリアムス、Venus Williams)が出ていなければ、テニスは見ないと言ってくる。数えきれないくらいの人がね」

「もちろん見ているのが楽しい男子選手もたくさんいる。だから両方のファンがいるはず。あの発言は大きな間違いだし、本当にものすごく不正確な表現だと思う」

 セレーナは、ソーシャルメディアを通じてムーア氏の発言を知ったと明かしており、男子シングルスの決勝が行われる前には、ムーア氏が急いで謝罪文を出している。

「メディアとの朝食会で、私は女子テニス協会(WTA)について、非常に不適切で、誤りのある発言をしてしまいました」

「発言について心から謝罪したい。そして、全ての選手とWTAの皆様におわびしたいと思います」

「今日の女子シングルス決勝では、セレーナやビクトリアをはじめとする選手たち、そしてWTA全体の強さを存分に示しました。何度も言うようですが、本当に申し訳ありませんでした」

 それでもセレーナは、あの発言が本心から出たものだろうと強調している。

「あの発言は、他に解釈の余地がない。ひざまずけというだけでも、十分失礼なのに、男子に感謝しろだなんて…これまで、女性たちは大きな進歩を遂げてきた。私たちは誰にもひざまずくべきではない」

(c)AFP