■アプフェルは「インスピレーションの源」

 ベルギー出身のデザイナー、ドリス・ヴァン・ノッテン(Dries Van Noten)のショーでアイリスに会ったという米モデルのレイ・レザーク(Leigh Lezark)は仏テレビ局のインタビューで、アイリスを「スタイルとエレガンスを凝縮させた女性。彼女こそ完成形」と絶賛した。

 ドリスもまた、高評価を受けたコレクションをデザインしながら「頭に思い浮かべていたのはあなたでした」とアイリス本人に最上級の賛辞を贈った。さらに仏テレビ局カナル・プリュス(Canal Plus)に「アイリスはアイドルであり、私にとっては限りないインスピレーションの源だ」と語った。「みんなにアイリスのように、品位とセンスのある人生を送ってほしい。彼女は最も素晴らしいものを身に着けている。しかも同じものは二度と着ない」

 ニューヨーク中心部パークアベニュー(Park Avenue)にあるアイリスの自宅マンションの2フロアには、20世紀最高のデザイナー陣の作品が詰まっている。アイリスが70年近くかけて集めてきたその膨大なコレクションを展示したいと、いくつもの博物館が何年も前からアプローチし続けているという。

 同市にあるメトロポリタン美術館(MET)は、2005年にアイリスのワードローブを紹介する初めての大規模な展覧会を開催した。当時アイリスは、「ティファニー(Tiffany & Co.)」のブティックでもハーレム(Harlem)地区のジャンクショップでも同じように、面白いと思うアクセサリーがあれば買うと話していた。

 アイリスいわく、人生を謳歌する鍵は働き続けることだという。在仏米大使館で開かれたレセプションに集まった人々を前にアイリスは「私も仕事をやめていませんよ」と語った。「もしも腰を下ろしてしまっていたら、目も当てられないことになっていたでしょう……後は転げ落ちるだけで。人生に陰りは付き物。でも物事の良い面に目を向け、自分自身や世界の助けとなることをやっていかなければなりません」

「新しいことに挑戦すべき。年齢や数字におびえないで、自分だけの幸福を見つけて。できるだけ個性を大事にして、周りに流されないようにするんです」(c)AFP/Fiachra GIBBONS