【3月9日 AFP】フランス・パリ(Paris)ファッションウィークの花形は、今旬のスーパーモデル、ジジ・ハディッド(Gigi Hadid)やケンダル・ジェナー(Kendall Jenner)らではない。真のスターは94歳のインテリアデザイナー、米ニューヨーク(New York)在住のアイリス・アプフェル(Iris Apfel)だ。

 主賓として招かれたパーティーや続くファッションショーに顔を出すための移動で、時には車いすの力も借りるアイリスだが、ユーモアのセンスは健在。報道陣を前に、冗談めかしてこう語った。「昔誰かに言われたことがある。『君は美しくはない、これからも絶対美しくはならない。でもそんなことは関係ない。君には違う何か──そう、センスがある』ってね」

 常に華やかに着飾り、これまで半世紀にわたってパリコレのフロントロウに欠かせない存在となってきたアイリスに、今また注目が集まっている。

 フクロウを思わせる特大の眼鏡がトレードマークになっている名物デザイナーのアイリスの名は、アルバート・メイズルス(Albert Maysles)監督が手掛けた2014年公開のドキュメンタリー映画『アイリス・アプフェル!94歳のニューヨーカー(Iris)』が話題をさらったことで、ファッション業界の枠を超えて広まった。

 アイリスは一躍、自称「おばあちゃんスター」になった。大振りのアクセサリーをこよなく愛するこの世界一シックな90代に対して、デザイナーのアレキサンダー・ワン(Alexander Wang)からラップ歌手のカニエ・ウエスト(Kanye West)までがファンだと公言している。

 今やパリコレで熟年女性を見かけるのは珍しいことではなくなり、「アンダーカバー(Undercover)」や「マニッシュ・アローラ(Manish Arora)」のショーでは多勢を占めたほど。そのようなシニア・ファッショニスタらの先駆けとなってきたのがアイリスだ。