■差別なのか、実力の問題なのか?

「なぜ採用されないかは明らかだ」と、QPRでヘッドコーチをしばらく務めていたクリス・ラムジー(Chris Ramsey)氏は昨年10月に英ロンドン(London)で開催されたスポーツリーダーの会議で、自分が仕事を得る難しさについて語った。

「それはとても困難で長い道のりだ」

 差別なのか、実力の問題なのか?「何かが間違っているのは確かだが、具体的には言いたくない」と、指導者になる前にフランスやベルギーのチームでプレーしていたシアシア氏は言う。

「ジョン・バーンズ(John Barnes)は、リバプールであれだけの功績を残し、しかも英国出身だというのにどこへ行ったのだ?彼はそこで監督として十分なチャンスを与えられなかった」

 イングランド・プロサッカー選手協会(PFA)は、米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)の「ルーニー・ルール(Rooney Rule)」の導入を求めている。

 2003年にNFLで導入された同規則は、監督のポストに空きが出た場合は、人種的少数派を面接することをチームに強制するものだ。

 プレミアリーグは同ルールをまだ導入しないことを示唆したが、下部リーグのクラブで試験的にスタートさせる。

 元イングランド代表のストライカー、レス・ファーディナンド(Les Ferdinand)氏は、プレミアリーグのクラブはどのみち面接などほとんどしないと指摘する。

「彼らはたいてい、希望する人物を指名するだけだ」

 チャンスを与えられない黒人たちの怒りは高まっている。彼らはテレビでサッカー解説者としては重宝されるのに、監督にはなれないのだ。

「黒人選手たちは『誰も仕事をくれないのなら、すべての学位を取ったほうがましではないか』と言うだろう」と、フランス人社会学者のパスカル・ボニフェイス(Pascal Boniface)氏は言う。

 同氏は、フランス・リーグ1のオリンピック・マルセイユ(Olympique de Marseille)の元会長、黒人のパペ・ディウフ(Pape Diouf)氏に関する本を執筆した。(c)AFP/Bienvenu-Marie Bakumanya in Kinshasa and Francoise Chaptal in Paris