【3月3日 AFP】70人を超える医師と医療専門家は2日、英国政府に対し、学校で授業の一環として行われるラグビーの試合で、タックルを禁止すべきだとする公開書簡を送った。

 医師らは、学校でのラグビーは深刻なけがを招くリスクが高いと警告し、教育機関に対して、代わりにタッチラグビーやタグラグビーを導入することを奨励した。

 スポーツ研究者や、教育者、医師、そして公衆衛生の専門家らが署名したこの書簡では、18歳までの子どもがラグビーで負傷するリスクは「高く、深刻な負傷につながる恐れがある」とする研究結果を引き合いに出している。

「ラグビーにおける負傷の大多数は、タックルやスクラムなど接触や衝突の際に起きる。骨折、靱帯(じんたい)断裂、肩の脱臼、脊椎や頭部の損傷など、子どもたちにとって短期、長期、あるいは一生を棒に振る結果を招く可能性がある」

 書簡では、11歳~18歳の生徒が通う英国の中学校・高校の多くで、肉体をぶつけ合うラグビーが体育の必須科目となっているという記述に加えて、脳振とうの危険性を指摘し、過去に脳振とうを経験している場合、再発する可能性が高いと警告している。

「リスクとして判明しているものには、繰り返し起こる脳振とうや、認識機能障害などがある。うつ、記憶障害、言語能力の低下との関連もみられ、症状が長期に及ぶこともある」

「子どもたちは、記憶力、反応速度が正常レベルに回復し、脳振とうの後遺症がなくなるまで、大人よりも時間がかかる」

 今回の書簡については、予想通りプロのラグビー選手から厳しい意見が出ており、 イングランド代表とサラセンズ(Saracens)でスクラムハーフを担うリチャード・ウィグルスワース(Richard Wigglesworth)は、「70人の専門家とやらの意見など聞くことはない」とツイッター(Twitter)に投稿している。

「ラグビーの利点を本当に理解している数千人の意見が、70という数字を上回っている!」

 一方、何度も脳振とうを経験しているアイルランド代表のジョナサン・セクストン(Jonathan Sexton)も、タックルを禁止すべきとする意見を一蹴している。

 レンスター(Leinster Rugby)でプレーするセクストンは同日、地元ラジオ局に対して、「タックルなしでラグビーができるはずはない。それは、もはやラグビーではない」と反論した。(c)AFP