【2月22日 AFP】(更新)インド北部ハリヤナ(Haryana)州で、公務員採用などでの優遇措置を求めるカースト集団の暴動が先週から続き、州政府によると22日までに少なくとも19人が死亡、200人以上が負傷した。抗議行動は22日朝にかけて鎮静化したという。一方、暴徒らが用水路を閉鎖したために、隣接する首都ニューデリー(New Delhi)では深刻な水不足が発生している。

 デモを率いているのは「ジャート(Jat)」と呼ばれる農民らのカースト。公務員採用や大学入試の優先割り当てを求めている。インドは、国内で最も差別されている人々を社会の主流に取り込むべく、低位カーストのための優先枠をさまざまな分野で設けているが、他の集団はそれによって自分たちが締め出されていると反発している。

 ハリヤナ州内では21日にも新たな暴動や店舗への放火が発生し、州政府の高官によると、1人が銃撃で、別の1人がデモ隊同士の衝突で死亡した。

 1週間に及ぶデモが暴動に発展したのを受け、州内では20日、発砲許可を得た兵士が多数配置されていた。

 地元警察によると21日には、暴動の中心地となっているハリヤナ州ロータク(Rohtak)県で、暴徒が警察署を襲撃して放火。署に隣接する店舗20棟と学校も内部を破壊されたという。

 州当局によると、19日に死者が出たのを受けて州内の複数の県で夜間外出禁止令が出されたが、一部を除いて22日までに解除されたという。

 一方、同州に隣接するニューデリーの水処理場へ水を運ぶ用水路が、暴徒によって閉鎖されたと伝えられ、同市当局は市内全域での給水制限を発表。22日にはすべての学校が休校になると述べた。

 今回の問題をめぐり、ジャート指導部と連邦政府のラジナート・シン(Rajnath Singh)内相、インド人民党(BJP)が政権を握るハリヤナ州政府の3者が、デリー(Delhi)で会談。州のBJP幹部は会談後、記者団に対して「州議会の次の会期中にジャートに優先枠を与える法制化を行うことを決めた」と述べ、州政府がジャート側の要求を受け入れたことを明らかにした。(c)AFP/Sajjad Hussain WANI