【6月5日 AFP】政府に優遇措置拡大を要求しデモを展開している、身分制度カーストの下層「グジャール(Gujjar)」に属するグループが4日、首都ニューデリー(New Delhi)の封鎖を試み、警官隊と衝突。先週から各地で続く衝突などによる死者は、少なくとも28人となっている。

 デモ隊は24時間にわたって首都に通じる道路を封鎖しようとしたため、周辺部の州境付近ではデモ隊と警官隊との衝突が散発的に起きた。警察のDeependra Pathak広報担当は、「散発的に投石があったが、現在では収まっている」と説明。

 ニューデリーにはグジャールが多く暮らしているが、グジャールの経営する商店を除けば、商業地区および官公庁は通常通り営業。

 PTIPress Trus of India)通信 によれば、交通封鎖により野菜や牛乳など生活必需品を積んだトラックが、デリー(Delhi)首都圏の主要な市場への配送を阻まれた。

 デモ隊は、グジャールに対して「指定カースト」の地位を認めることを拒否したとする政治家たちの人形を燃やしたりするなどし、テレビでは、デリー交通(Delhi Transport Corporation)の路線バス、少なくとも2台に放火したデモ隊を武装した警官隊が追いかけている映像が放映された。

 「指定カースト」とは社会的、経済的に最も弱と指定された民族集団で、国の支援や雇用が優先的に確保される。

 グジャールはインド西北部のラジャスタン(Rajasthan)州の人口約5%を占め、伝統的に牧羊を営む。指定カースト対象外であるため、特別優遇措置を求めて前週から大規模なデモを展開している。

 Deependra Pathak広報担当によると、警察では「法と秩序を乱す、いかなる問題も回避するために警戒態勢をとっている」とのことで、5万5000人規模のデリー首都圏警察を応援するために予備役部隊およそ2000人が待機しているという。

 ブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ(Luiz Inacio Lula da Silva)大統領がニューデリー滞在中ということもあって、警察は4日、市内の幹線道路沿いに要員を配備してバリケードを設置。

 事態収束に向けた政府の調停努力は、これまでのところ失敗に終わっている。(c)AFP