■多くのスターシェフを輩出

 同校を開校したのは、料理研究家の辻静雄(Shizuo Tsuji)氏。フランス料理の愛好家で、1960年大阪に調理師学校を設立。今では日本で最も有名な調理師学校の一つとなっている。

 辻氏はフランス料理界の重鎮ポール・ボキューズ(Paul Bocuse)氏と親交を深めていたこともあり、1979年にフランスでも開校しようと決心した。

 リヨン(Lyon)北郊リエルグ(Liergues)にある同校は、以来フランスの美食文化を学ぶ拠点となっている。調理師見習いだけでなく、すでにプロとして認められているシェフたちも同校での研修を希望しており、順番待ちの長いリストができている。大半は日本人だが、中には韓国からの受講希望者もいるという。

 一流の講師陣から5か月という短期集中で行われるこのコースの受講料は、為替変動に応じて2万~2万5000ユーロ(約250万~320万円)。完備されている寮も超高級ホテル並みだ。

 立地も最高で、文句なくフランスの美食文化の中心地といえるリヨン地方の最高級の食材を手に入れることができる。

 フランスに滞在していると、日本なら法外な値が付く最高級の本場の材料を手頃な値段で入手できるのは利点だが、反面、現地のフランス人と張り合っていかなければならないという難しさはある。

 しかしこれまで数多くの卒業生が、華々しいキャリアを築いている。フランスでは近年、日本人の手によるフランス料理が人気を集めており、活躍の場が広がっている。

 大阪(Osaka)の高田裕介(Yusuke Takada)氏や米田肇(Hajime Yoneda)氏、モナコのホテル「メトロポール(Metropole)」にあるジョエル・ロブション(Joel Robuchon)氏プロデュースのレストラン「ヨシ(Yoshi)」のシェフ、山崎健央(Takeo Yamazaki)氏、ブルターニュ(Brittany)地方カンカル(Cancale)にある「ラターブル・ブレッツカフェ(La Table Breizh Cafe)」の久高章郎(Raphael-Fumio Kudaka)氏など、ミシュランの星を獲得しているスターシェフらも誕生している。(c)AFP/Sandra LAFFONT