【2月16日 AFP】フランス・ボージョレ(Beaujolais)地方にある、雪化粧したブドウ畑の中にそびえる優雅なシャトーの厨房で、日本人研修生らが忙しく立ち回っている。いずれもフランス料理の極意を学ぼうと集まった、未来のスターシェフ候補たちだ。

 「辻調グループ(Tsuji Culinary Institute Group)フランス校」のエメ・ナレ(Aime Nallet)主任講師がこの朝指導していたのは、シャロレー牛のステーキをブドウの新芽と一緒に薫製する方法と、ヒメジのパイ包みに添える房状のミニトマトへの火の通し方だ。講師の指示に対し、研修生らは「ウイ、シェフ!」と高らかに声をそろえる。

 ナレ講師は、研修生らにとって「塩は未知のもの。日本ではしょうゆを使うから」と指摘している。テクニックを学ぶこと以上に、舌を鍛えることも大きな課題だという。

 その一方でピエール・ベアル(Pierre Beal)学長は、研修生らの生来のきちょうめんさや見せ方へのこだわりは、日本文化に根差した強みだとたたえる。

 南東部ビエンヌ(Vienne)にある、レストラン・ホテルの格付け本「ミシュランガイド(Michelin Guide)」で二つ星を獲得しているレストラン「ラピラミッド(La Pyramide)」でトップシェフを務めるパトリック・アンリルー(Patrick Henriroux)氏も、研修生らを「師匠の姿を追うことによって学ぼうという意欲」にあふれた弟子のようだと形容している。

 薫製器にくべた赤く燃える炭をのぞき込みながら、ナレ講師が指示を出すたびに跳び上がってそれに応える研修生がいた。父親からフランス料理の味を教わったというこの研修生は、将来はフランスで働きたいという。「でも、まずは日本に戻って仕事を探すつもりです。ある程度経験を積んでから戻って来たい」