【12月29日 AFP】病気療養中のタイのプミポン・アドゥンヤデート(Bhumibol Adulyadej)国王(88)の愛犬「トーンデーン(Tongdaeng)」が死んだ。この犬をめぐっては、インターネットに同国王とこの犬を「風刺」するコメントを投稿したとして、不敬などの容疑で男性が逮捕される事件があった。

 タイ語で「銅」を意味する名前を付けられた雌のトーンデーンは、飼い主のいない子犬だった時にプミポン国王が引き取り、2002年には同国王自らこの犬に関する本を執筆。それによって一躍有名になり、本も大きな反響を呼んだ。

 トーンデーンは忠誠と従順さを称賛され、この本が出版された当時は、国民が硬直化したタイ王国でどのように生き、分をわきまえた生活を送るべきかを示す寓話(ぐうわ)と広く受け止められた。

 地元大学の獣医学部の声明によると、17歳のトーンデーンはここ数年、具合が悪かったという。また、トーンデーンは、当局者やメディアには敬称の「クン(Khun)」付けで呼ばれることが多かった。

 タイの不敬罪は世界で最も厳しい部類に入り、有罪と判断されれば最長15年の禁錮刑が科される。「君主制の擁護者」を自任する軍が昨年のクーデターで政権を掌握して以来、同罪での訴追が急増しており、今月は交流サイト(SNS)のフェイスブック(Facebook)で国王やトーンデーンを「風刺」する投稿をしたとして男性(27)が逮捕されている。(c)AFP