中国で復活、児童生徒による外国要人への「熱烈歓迎」
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【12月6日 AFP】中国のタイ・チンヤー(Dai Jingya)さんは10歳にしてさまざまな国の首脳をすぐ目の前で見るという経験がある。すでにその数は一般の人が一生のうちに目にするよりも多いはずだ。習近平(Xi Jinping)国家主席と肩を並べて立ったのは4回。それぞれシンガポール、アフガニスタン、ミャンマー、デンマーク首脳の訪中歓迎式典に出席した時だった。
北京(Beijing)には外国要人が頻繁に訪れる。タイさんはその「歓迎要員」として、市内の学校から選抜された子どもたちのうちの一人だ。人民解放軍(PLA)の兵士や政府高官と共に歓迎式典に出席する。
子どもたちに歓迎役を務めさせるこのしきたりは中国建国の父、毛沢東(Mao Zedong)の個人崇拝に基づく専制体制や、かつての皇帝たちが国家統合に用いた手法をほうふつとさせるものだと、識者らは指摘している。
毎回厳密な演出が施され、中国中央テレビ(CCTV)の主力報道番組で詳しく伝えられるこのパフォーマンスでは、まず習国家主席と外国からの来訪者が天安門広場(Tiananmen Square)の人民大会堂(Great Hall of the People)で開かれる閲兵式に臨む。
その後2人は40人ほどの子どもの一団の前を通り過ぎる。子どもたちは合図を受けて一斉に「中国へようこそ」と中国語と英語で大歓声を上げ、一方の手で中国の国旗、もう一方の手で来訪者側の標章を振りかざし、飛び跳ねて歓迎の意をアピールする。
タイさんは炎天下で式典の開始を待ちながら、「外国の人たちを出迎えに来るのは本当に大好き。学校に行かなくて良いし、時々夜のニュースに自分が出ることもあるから」と話した。しかしタイさんが「一番会いたい」首脳だというバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領をじかに見たことはまだない。
歓迎式典自体には長い歴史があるが、式典への児童生徒の出席は10年ほど取りやめられていた。それが再導入されたのは、習氏が権力の座に就いた2012年以降のことだ。