【12月2日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は1日、トルコとロシアに対し、露軍機の撃墜をめぐる対立を解消し、真の敵であるイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の打倒に集中すべきだと呼び掛けた。

 フランス・パリ(Paris)近郊で開かれている国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)第21回締約国会議(COP21)に出席するため訪仏しているオバマ大統領はこの日、同会議に出席しているトルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領と会談した。

 会談後にオバマ大統領は、トルコとロシア両国がとるべき行動について率直な意見を述べた。「はっきりさせておきたい。トルコは北大西洋条約機構(NATO)の加盟国だ。米国はトルコの自衛権、その領空・領土を守る権利を支持する」「われわれには共通の敵がいる、それはISIL(ISの別称)だ。その脅威に確実に集中していきたい」と話した。

 ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)露大統領は、トルコがISと石油売買をしていると糾弾しているが、エルドアン大統領はこれを否定し、その証拠を提示するよう要求している。エルドアン大統領はオバマ大統領との会談後、自身も前に進んでいきたい気持ちがあるとして、「われわれは常に、外交言語を生かしていく用意がある…緊張は避けたい」と語った。

 前日にプーチン氏と会談した際には融和的な態度で臨んだオバマ氏は一方で、米国が退陣を要求しているシリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領と長年同盟関係を維持してきたロシアが、流血の事態を政治的に解決していけるよう、近く戦略変更に踏み切ることを確信しているとも語った。

 オバマ氏は、シリアのアサド大統領を支援するための軍事介入は、不利益の方が利益を上回ることをロシアも近く認識するだろうという見方を示し、「ロシアも究極的には、(ISによる)国家と国民に対する脅威が何より甚大であり、ISILと戦っているわれわれと同盟関係を結ぶ必要があると気付くだろう」と述べた。(c)AFP/Jérôme CARTILLIER with Bryan McMANUS in Brussels