【11月27日 AFP】英紙タイムズ(The Times)は26日、今週の紙面で英国のイスラム教徒の5人に1人がイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に共感しているとした見出しについて、誤解を招くものだったとして訂正を発表した。

 仏パリ(Paris)の同時テロを受け、英国でもイスラム系住民に対する目が厳しくなっている。イスラム教徒を標的としたヘイトクライム(憎悪犯罪)が増加したとの指摘もある。

 こうした中、タイムズは「英国のイスラム教徒、5人に1人がISIS(ISの別称)に共感」との見出しについて、該当の記事が根拠とした調査結果を正確に反映していなかったと認めた。

 この調査は、タイムズと同じく「メディア王」ルパート・マードック(Rupert Murdoch)氏の傘下にある英大衆紙サン(The Sun)の依頼を受け、英市場調査会社サーベイション(Survation)が英国内のイスラム系住民1003人を対象に電話で行ったもの。調査対象の20%が、「シリアで戦闘に参加しようと英国を離れるイスラム教徒の若者たち」に「ある程度」または「非常に」共感すると答えた。

 だが、この調査では、若者たちがシリアのどの戦闘集団に参加するかは特定していなかった。また、この調査結果はイスラム教徒以外の英国人の回答とほぼ同じだった。

 この調査結果については、サンも23日の一面で「英イスラム教徒、5人に1人がイスラム過激派に共感」との見出しで報じたが、ソーシャルメディア上で非難を呼び、謝罪を要求するオンライン請願運動には3万人以上が署名。規制当局にも3600件の苦情が殺到した。ただ、サンは報道を擁護する立場を崩しておらず、同紙コラムニストのロッド・リドル(Rod Liddle)氏は26日、「人々が怒るのは、われわれが真実を伝えているからだ。おかしな話だ」と紙面で述べている。(c)AFP