■ホログラムコンサートは飽きやすい?

 近年、伸び悩みをみせる音楽業界で、まだ成長の余地が残る数少ない分野の一つに「夏フェス」がある。過去数年間で、これらイベントの開催件数は急増しており、イベントの主催者らは目玉となる「ユニークなスター」を求めている。

 とはいえ、目新しさが失われてしまった後も、他界したスターたちに会えるとの理由だけで、人々はホログラム目当てに金銭を払い続けるだろうか?

 動画編集アプリ「Magisto(マジスト)」運営会社のマーケティング責任者リード・グノアー(Reid Genauer)氏は、ホログラム技術が一般化した後の同技術の活用法についてアイデアを探っているというが、実はこれがなかなか難しいのだという。

「死去した有名人たちと会えるのはいいだろう。ビジネスとしてもおそらく成り立つ。未知数なのは、ここからどのくらいのビジネス規模が見込まれるのかという点だ」(グノアー氏)

■「観客は3曲で飽きる」

 マイケル・ジャクソンや2パックのホログラム・コンサートを手がけたパルスエボリューション社のジョン・テクスター(John Textor)会長は、この技術を用いる際に大切なことは、ホログラムに頼りきりになるのではなく、ショーそのものをしっかりとつくり上げることだと指摘する。

 同社が計画しているエルビスのミュージカルは、上演時間90分間の中でブロードウェー(Broadway)のショーさながら、実際のダンサーや俳優たちが出演する。テクスター氏は「デジタル化されたパフォーマンスのみのコンサートに価値はない。3曲で飽きられてしまうだろう」という。

 同氏は、ホログラム・コンサートの開催そのものが目標ではないと話す。コンサートは単にバーチャルリアリティー技術を応用できる数多くある媒体のうちの一つに過ぎないという。