■美術は何によって評価されているのか?

 中国南西部・雲南(Yunnan)省昆明(Kunming)の画廊「TCGノルディカ(TCG Nordica)」のキュレーター、羅菲(Luo Fei)氏は、ウエリ氏がやったことは「アイデンティティーに関す実に面白いゲームだ」と指摘する。

「中国に対する彼の感性は、中国人のそれとは違う。彼の表現方法は、外側から中をのぞき込む方法だ。中国人作家であれば、こういう作品は避けるだろう。何かの模倣だと言われてしまうからだ。でも外国人ならば、それとは違う視点だと皆が納得する」

 また著書「Age of Ambition: Chasing Fortune, Truth and Faith in the New China(野心の時代:財と真実、信念を追って新たな中国へ)」が高い評価を得たジャーナリストのエバン・オスノス(Evan Osnos)氏は、「先富起来」と書かれた「陶弘景」のネオンライトの作品の言葉について、故鄧小平(Deng Xiaoping)が改革開放を唱えたときに掲げたものと説明。

 オスノス氏はAFPに対し「作者の素性が公表通りでなかったことに驚きはない。むしろ、この仏人作家は金持ちになろうという決意を真に体現している。これは中国芸術というよりも、パフォーマンスアートだ」とコメントした。(c)AFP/Ludovic EHRET