■「フムス」発祥の地

 パレスチナ人とイスラエル人は、領有問題で争っているだけでなく、一部料理の発祥についても意見が対立している。

 有名なのは、ひよこ豆で作られたペースト状の料理「フムス」。フムスは中東地域の料理には欠かせないものだ。もう一つは、ひよこ豆をすりつぶして油で揚げた料理「ファラフェル」だ。

 しかし、フムスの味に関しては、エルサレムの旧市街にある小さなレストラン「アブ・シュクリ(Abu Shukri)」のものが最高だという点で、双方の意見は一致している。情報通の観光ガイドも推薦する店だ。

 店のオーナーのヤセル・タハ(Yasser Taha)さんは、イスラエルが建国宣言した1948年に開業したこのレストランを父親から引き継いだ。以降、家族の秘伝料理をためらいもなく提供しつづけているという。

■空(から)の皿は平和につながる

「イスラエルの人々は私たちからフムスの作り方を学んだ」とタハさんはフムスの古い、そして不確かな起源について語る。そして「彼らはフムスの作り方を見て学んだのに、今では自分たちが創ったと言っている」と笑いながら付け加えた。

 この店のテーブルには、多くのイスラエル人が観光客に交じって座っている。

 娘と一緒に店を訪れた女性(52)は、フムスをきれいに平らげ「ここに来るのが好き。おいしいから」と空になった皿を掲げてコメントした。

 また、車で1時間半かけて来店したという別のイスラエル人の女性は、「みんなフムスが好き」と話し、「フムスは私たちが共有できるもので、私たちを一つにして平和をもたらしてくれるもの」と語った。(c)AFP/Sarah Benhaida