【10月2日 AFP】地球温暖化による気温の上昇幅は、今世紀中に2.7度に達する可能性があるとの分析結果が1日、発表され、各国が表明している炭素ガス排出量の削減目標案では、気候変動の最悪の予測シナリオを回避するのに不十分との判断が下された。

 地気候研究4機関による共同プロジェクト「クライメート・アクション・トラッカー(Climate Action TrackerCAT)」の分析結果は、地球全体の気温上昇幅を産業革命以前の水準から2度未満に抑えるという目標にはまだ到達できない見通しであることを改めて確認するものとなったが、その一方で、少しづつではあるが、目標に近づきつつあるとの兆しも示された。

 CATの前回の分析では、2100年までに3.1度の気温上昇が予測されていたため、今回の2.7度は、前回からの「著しい改善」であると、CATの声明は数少ない良い知らせとして述べている。ただ、国連(UN)が非公式の期日とした10月1日までに提出された各国の目標案では「UNが設定した2度の上限を大きく上回る地球温暖化」が発生するとしており、「これは、多くの政府が不十分な気候目標を提出していることを反映している」とされた。

 UNの「気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate ChangeIPCC)」によると、世界気温が1~2度上昇するだけで、世界は「相当な」リスクに直面することになるという。このリスクには、深刻な洪水や干ばつの増加、陸地を浸食する海面上昇、病気のまん延や食糧難などがあり、これらはすべて、世界の政情不安を増大させる可能性がある。

 CATの分析は「各国の自主的な約束草案(INDC)」として知られる、気候変動につながる温室効果ガスの排出削減についてのそれぞれの目標案を対象に行われた。INDCは、今年12月に仏パリ(Paris)で開かれる第21回締約国会議(COP21)で調印される予定の国連気候変動枠組み条約(UN Framework Convention on Climate ChangeUNFCCC)の基幹となるものだ。