■初めて予想値が3度以下に

 COP21で2020年以降の温暖化対策の枠組みをめぐり協議している195か国のうち、約140か国が、5年もしくは10年の期間における排出目標を独自に設定したINDCを1日までに提出している。

 提出された目標案の中には、世界の排出量の8割近くに相当する排出量上位3国の中国、米国、28か国が加盟する欧州連合(EU)のものが含まれている。

 CATの予測には、排出量第4位のインドの削減目標の推定値も含まれている。インドは正式な目標案をまだ提出していないが、自国の目標に関する公式声明を発表している。

 CATによる気温上昇の予測値が3度を下回ったのは、分析が始まった2009年以降で今回が初めてとなる。この変化の大部分は、中国の削減案に起因するものだ。中国の目標案は、大気中に最も多く存在する温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)の自国の排出量を2020年代末に減少に転じさせるものとなっている。

 CATに参加している研究機関、独非営利団体「クライメート・アナリティックス(Climate Analytics)」の創設者のビル・ヘア(Bill Hare)氏は「INDCのプロセスは明らかに進歩につながっている」としながらも、その一方で、「だが、2025年と2030年に向けた第1回目の計画では、温暖化を2度未満に抑えられないことを各国政府が正式に認めた上で協議に当たらなければならないのは明白だ」とも指摘している。

 CATの分析では、目標の2度を達成するために、温室効果ガスの年間排出量を、2025年には目標数値より110~130億トン、2030年には目標数値より150~170億トンをそれぞれ減らさなければならないことが明らかになった。

 現在のINDCに基づくと、2025年の年間排出量は52~54GtCO2e(二酸化炭素換算)、2030年は53~55GtCO2eとなり、現在の年間排出量の約48GtCO2eを上回る見通しだ。

 IPCCは、2度目標を達成するために、排出量を2050年までに2010年水準から40~70%削減、2100年までにゼロ近くまたはマイナスに至るまで減少させることを提案している。(c)AFP/Mariette LE ROUX