【9月3日 AFP】世界各国が国連(UN)に提出した温室効果ガス排出削減の数値目標案について、地球温暖化を食い止めるには「はるかに」不十分だとする分析を、専門家らが2日、発表した。

 この目標案「各国の自主的な約束草案(INDC)」は、今年12月に仏パリ(Paris)で開かれる国連気候変動枠組み条約(UN Framework Convention on Climate ChangeUNFCCC)の第21回締約国会議(COP21)で、新たな国際枠組みに盛り込む削減目標の基幹となるもの。これまでに56か国・地域が2030年までの削減目標を提出した。

 しかし、4つの研究機関による共同分析「クライメート・アクション・トラッカー(Climate Action TrackerCAT)」によると、各国から提出された数値目標では、産業革命以降の気温上昇を2度未満に抑えるという国際目標を達成するのは「ほぼ実行不可能」で、2100年までに世界の気温は2.9~3.1度上昇することになるという。

「各国政府からこれまでに提出された目標を集計すると、世界の排出量は温暖化を2度未満に抑えるために必要な水準にまったく足りていない」と、CATは声明で述べている。

 気温上昇2度未満は、環境に壊滅的な影響が出るのを避けるために必須とされている。しかし、CATによると提出されたINDCでは、2025年時点で必要な二酸化炭素削減量を120億〜150億トン、2030年時点では170億〜210億トン超過しているという。

 分析した15か国・地域のINDCのうち、CATはオーストラリア、カナダ、日本、ニュージーランド、シンガポール、韓国、ロシアの7か国について「不十分」だと評価している。(c)AFP/Mariette LE ROUX/Marlowe HOOD