■違法賭博のまん延は「スポーツを滅ぼしかねない」ほど深刻

 イートン氏は、八百長問題はスポーツの今後を脅かしかねないほど深刻だという見解を示しており、各国の政府に対して、法律の面から規制を強化するよう訴えている。

 イートン氏は、「このままでは、スポーツは10年後に滅んでしまうかもしれない」と警告している。

「各国の政府が力を合わせ、世界規模で足並みをそろえて介入し、試合結果の不正操作の問題に対処しなければ、今後もスポーツの信頼性に重大な悪影響が出続けるだろう」

「政府は対策を取っていない。政府はいまだに、自浄作用がはたらくか、あるいは魔法のような解決策が見つかることを期待している」 

 元警察官で、国際サッカー連盟(FIFA)の保安部を率いた経歴も持つイートン氏は、東欧のマフィア、アジアの賭博シンジケートを中心に展開される違法賭博市場の規模は、年間1兆5000億ドル(約180兆円)に上ると試算している。

 イートン氏によると、その大半がサッカー賭博で、ほかにクリケットやテニスも、違法賭博の世界では人気の競技だとしている。

 さらにサッカーについては、クラブ間の親善試合を含めた国際親善試合、消化試合となった公式大会の予選、若年層の大会、そして下部リーグの試合という、大きく分けて4種類の試合で、八百長が行われやすいと語った。

 イートン氏が主張する1兆5000億ドルは、試算としてはかなり控えめな部類に入るかもしれない。あるスポーツアナリストは今年、世界のスポーツ賭博市場は、年間3兆ドル規模に達している可能性があると指摘していた。

 イートン氏は、「違法賭博が根絶されず、守りがいっそう強固になっていることを考えると、状況は悪化しているといえる」と語った。(c)AFP/David HARDING