■アジア社会の構造と恋愛の形

 Grouvlyの生みの親で、コロンビア出身のカミノ・パレデス最高経営責任者(CEO)は「アジアに来て感じたのは、人との出会いが難しいということ。アジアの人々は少しシャイで、ぶつかり合うことも、嫌われるようなこともあまりしない」と語った。

 そこで、パレデスCEOは米デートアプリ「グルーパー(Grouper)」に似たサービスを始めようと考えた。グルーパーは6人一組でのグループデートを企画するサービスだ。フェイスブック(Facebook)のプロフィールを基にマッチングした2人が、それぞれ2人の友人を連れて、計6人のグループデートを実現させる。大抵の場合は、男女混合だが、全員男性もしくは全員女性というケースもある。

 パレデスCEOは「1対1は身構えてしまう。2対2でもまだ落ち着かない。だけど3対3は魔法の数字だ」と語った。

 350万人が登録するシンガポール生まれのアプリ「Paktor」は、これまで紹介したサービスに比べるとより「カジュアル」な印象を持たれがちだが、最近ようやくグループチャットの機能を加えた。共同創業者のジョセフ・ファさん(31)は、「確かに、(この地域の人々は)控えめに振る舞い、直接的な物言いを避ける傾向がある。アジア社会は劣等感や拒否反応に敏感だ。こうした社会の構造が恋愛の形にも表れている」と話した。

 これらアジア圏をターゲットにしたアプリは、地域の人々の感覚に合うように工夫して作られているものが多いが、中国のメッセージサービス「微信(ウェイシン、WeChat)」などは、位置情報を利用した「シェイク」機能を使い、気軽に近くにいる別の利用者と出会うことができるようにもなっている。

 だが、スマホ保有率が6割を超える香港のような大都市でも、ネット上での恋人探しは欧米と比べるとまだ一般的ではない。

 米スタンフォード大学(Stanford University)が発表した2011年の調査によれば、香港でオンラインやアプリで恋人を見つけた人はわずか5%。これは、米国の同22%を大きく下回っている。(c)AFP/Theo Merz