■捜査は長期におよぶ可能性も

 リーディー会長は、「今回の疑惑には、世界ドーピング防止規程(WADA Code)に違反しているのか、もし違反していた場合、WADAやほかの団体がどのようなアクションを起こすのかなど、迅速さと緻密さが求められている」としている。

 元WADAの会長で、現在はIOCメンバーの一員でもあるリチャード・パウンド(Richard Pound)氏が率いる独立委員会は、昨年12月にARDが報じたロシアのアスリートの間でまん延するドーピング疑惑を調査しているが、今回の新たな疑惑の調査も一任されている。

 リーディー会長は報道陣に対し、パウンド氏の報告書が9月上旬までに提出されることを期待していたが、新たな疑惑が浮上したことで提出が遅れる可能性を示唆している。

「少し長くかかるかもしれないが、彼らが今回の疑惑を見定め、結論を出してからの方がいいのかもしれない」

 リーディー会長は、特に「ドーピングのまん延」と「血液ドーピング」に懸念を示している。

 番組では、ロシアとケニアの選手にスポットライトが当てられ、両国の選手が禁止技術を使っていると報じられた。

 しかし、英国メディアは、アルベルト・サラザール(Alberto Salazar)コーチのドーピング疑惑が先日報じられたモハメド・ファラー(Mohammed Farah)ではなく、1人の英国人トップアスリートが、データベースから疑わしい検査結果が出た12人に含まれているとしている。

 ケニア陸連(AK)は、今回の疑惑に怒りをあらわにしており、「名誉毀損」で法的手続きも辞さない構えをみせている。

 ケニア側は発表した声明の中で、「連盟は常にドーピングという悪行の撲滅につながるあらゆる情報を歓迎している」とコメントしている。

「だが、そのドキュメント番組が、われわれのランナーを何の根拠もない疑いで中傷していることを見過ごすわけにいかない」

「われわれはテレビ局や新聞社への法的措置も視野に含め、法律チームにドキュメンタリーを検証する よう指示した」

(c)AFP/Tim Witcher