■ロシア、ドーピング疑惑は「ナンセンス」

 番組で疑惑が報じられたロシアのビタリー・ムトコ(Vitaly Mutko)スポーツ相は、今回の新たな疑惑は、IAAF内における権力闘争の一部であり、「ナンセンス」だと一蹴している。

 ARDとサンデータイムズは、内部告発者によって流出したデータの分析を、ドーピングの専門家であるマイケル・アシェンデン(Michael Ashenden)氏とロビン・パリソット(Robin Parisotto)氏に依頼したと明かしている。

 アシェンデン氏とパリソット氏は、800メートルからマラソンまでの約800人の選手が疑わしい、あるいは極めて疑わしい値を記録しているとして、次のような結論を出している。 

・2001年から2012年までの世界陸上または五輪のメダル獲得選手について、血液検査結果を分析したところ、疑わしいと考えられる選手が全体の3分の1のメダルを獲得していた。

 アシェンデン氏は番組の中で、「ある大会では、表彰台すべてが私の見る限りドーピング経験者の可能性が非常に高い選手で占められていた」とコメントしている。 

・ロシアが獲得したメダルのうち80パーセントは、疑わしい値の選手によってもたらされたものであり、ケニアが獲得したメダルのうち18個は、疑いのある選手が手にしている。

・分析結果は、血液ドーピングの増加と、微量であれば赤血球を増やしてパフォーマンスを向上させる造血剤エリスロポエチン(EPO)は検出されにくいということを示していた。

 IAAFは、報道を把握しているとした上で、データが「同意なしに流出した」ことを強調しているが、各国の陸上競技連盟や選手の間から批判が噴出している。

 欧州陸上競技連盟(European Athletics)の上層部はIAAFに対し、「状況を明確にし、ドーピング問題に立ち向かうための取り組みの強化」を求めた。

 選手側も懸念を示しており、ロンドン五輪の女子七種競技で金メダルを獲得したジェシカ・エニス(Jessica Ennis、英国)は、どんなに被害が大きかったとしても、すべての情報が公表されなくてはならないとコメントしている。

「スポーツ界におけるドーピング問題の取り組みが前進していることを、アスリートやファンが自信を持てるよう、どちらの組織(IAAFとWADA)も今回の疑惑にできる限り早く対応してくれることを願っています」