【7月29日 AFP】宇宙旅行会社ヴァージン・ギャラクティック(Virgin Galactic)の商用宇宙船「スペースシップ2(SpaceShipTwo)」が昨年、米カリフォルニア(California)州で試験飛行中に空中分解して副操縦士が死亡した事故で、検証にあたっていた米運輸安全委員会(National Transportation Safety BoardNTSB)は28日、設計の段階で人的ミスを考慮していなかったために機体が分解したとして、機体の製造会社を非難した。

 事故原因についてNTSBは、副操縦士が「フェザリング」と呼ばれるブレーキシステムのロックを解除するのが早すぎ、これが「破局的な構造破損」を引き起こしたと結論づけた。スペースシップ2はロケットで上空1万5000メートル付近まで打ち上げられた後、搭載エンジンによって自力で高度10万9000メートルまで到達する予定だった。だが初動調査の結果では、機体の速度がマッハ1.4になるまで作動させないはずの同システムを、マッハ0.8の時点で副操縦士が作動させてしまったとの結論が出ており、NTSBもこの調査結果を追認した。

 NTSBは、機体を製造した米航空機・宇宙機メーカー、スケールドコンポジッツ(Scaled Composites)が操縦士によるミスの可能性を織り込み、早すぎるブレーキ操作を防ぐシステムを導入していれば墜落は防げたと述べている。

 スペースシップ2は昨年10月31日、カリフォルニア州のモハベ砂漠(Mojave Desert)で試験飛行中に墜落。操縦士は負傷したもののパラシュートを使って脱出に成功したが、副操縦士は死亡した。2人は米防衛大手ノースロップ・グラマン(Northrup Grumman)を親会社とするスケールドコンポジッツの社員だった。

 ヴァージン・ギャラクティック社を所有するリチャード・ブランソン(Richard Branson)氏は、上空10万メートル以上を運行する初の商用宇宙船事業を計画していたが、昨年の事故で同社の宇宙観光事業の立ち上げは先送りとなった。(c)AFP