【11月4日 AFP】英ヴァージン(Virgin)グループのリチャード・ブランソン(Richard Branson)会長は3日、米NBCのテレビ番組で、グループ傘下の宇宙旅行会社ヴァージン・ギャラクティック(Virgin Galactic)の商用宇宙船「スペースシップ2(SpaceShipTwo)」が試験飛行中に墜落した事故について、機体の姿勢を安定させるために尾翼部分の角度を変えたのが早すぎたのが事故の原因だった可能性があるとの指摘について、「そういうこともあり得る」と述べた。

 事故原因を調査している米運輸安全委員会(National Transportation Safety BoardNTSB)のクリストファー・ハート(Christopher Hart)委員長代行は2日の記者会見で、この事故で死亡したマイケル・アルスベリー(Michael Alsbury)副操縦士が、スペースシップ2の速度がマッハ1.0を少し超えた時点で、胴体に対する尾翼部分の角度を変化させるレバーを動かしたのを操縦室のカメラが撮影していたと述べた。このレバーは速度がマッハ1.4になるまで動かさないことになっていた。

 スペースシップ2は抗力(機体に対して進行方向の逆向きに働く力)を増加させて機体姿勢を安定させるため、尾翼部分を回転させて上方向に向けることができる設計になっており、この仕組みは「フェザリング」と呼ばれている。

 フェザリングはバドミントンのシャトルコックの羽根のような効果を発揮し、機体は大気圏再突入時に速度を落として正しい針路を取ることができる。フェザリングが自然に始まったのか、レバー操作によって始まったのかは分かっていない。NTSBのハート氏は、事故原因はまだ明らかになっていないと強調した。

 ブランソン会長はNBCの番組の中で、自分は副操縦士がレバーを操作する場面の動画を見てはいないが、フェザリングが早すぎたならばそれが事故の原因になった可能性はあると述べた上で、今はまだ調査を見守る必要があると述べた。

 ハート氏は、現場での調査は1週間ほどで終わるが、集めた情報をまとめて分析するには「おそらく12か月かかる」との見通しを示した。ハート氏によると、機体の残骸は約8キロにわたって散乱している。事故に関連する大量のデータと動画もあり、調査官らはそのなかから原因究明のヒントが見つかることを期待しているという。

■ブランソン氏、「自称専門家」を批判

 安全性についての警告をヴァージン側が無視していたとロケットエンジンの専門家が主張したことについてブランソン会長は3日、英ニュース専門局スカイニューズ(Sky News)の番組で、「悪意ある批評」や「自称専門家」を批判した。

 ブランソン氏は、「これほど無責任で有害な当てこすりは見たことがない」と述べ、「専門家を自称している人たちは爆発が事故の原因だったと言っているが、燃料タンクもエンジンも無傷で、爆発した形跡はない」と指摘した。(c)AFP/Michael THURSTON