同性愛者の権利向上へ、韓国の保守社会に挑む活動家カップル
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■自己否定からプライドへ
2001年の作品『ワニとジュナ(Wanee and Junah)』の記者会見である記者に、作中に登場する同性愛者のモデルは自分自身かとの質問を受けた。金監督は当時まだ同性愛者であることをカミングアウトしていなかった。「否定しました。何度も。自分がプロデューサーを務めた作品としてまだ2作目だったので、キャリアに傷がつくんじゃないかという不安を克服するだけの自信がなかった」
しかし、秘密にしていることに耐えられなくなり、2006年までには同性愛を公表し、韓国で初めて同性愛を正面から描いた映画とされる『後悔なんてしない(No Regret)』でプロデューサーを務めた。今も非常に保守的な韓国で同性愛者であることを公表している著名人は金監督を含めごく少数で、ゲイやトランスジェンダー(性別越境者)の人々の大半はそれを悟られないようにしている。
2人は今、韓国で最も注目されている同性愛カップルで、2人が同性同士の婚姻関係を認めるよう求め起こした訴訟は、韓国史上初めてのものだ。2人の弁護士、リュ・ミンヒ(Ryu Min-Hee)氏は、憲法の平等の保護に関する条項に基づき家族法の差別的な条項が覆された複数の判例を用い、裁判で争うつもりだと話している。「同性カップルに対する差別である今回のケースにも同じ条項を適用できると、私たちは主張しているのです」
法律専門家らは、社会に大きな影響を及ぼす可能性のあるそうした判決が地裁レベルで下される見込みは薄いが、共感する判事が希望につながる何らかの言葉を判決文に入れる可能性はあり、上級審や将来の訴訟に有利な材料となるかもしれないと分析している。