【7月28日 AFP】オーストラリアのテレビ局SBSは28日、シリアで撮影していたリアリティー番組の出演者らが、イスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」の戦闘員に銃撃されたことについて、安全面での準備に不足はなかったとして、番組を擁護した。

 同番組「Go Back to Where You Came From(元いた場所に帰れ)」は、「一般のオーストラリア人」が難民の旅路をたどるリアリティー番組。今シーズンは、出演者がシリアやイラクのバグダッド(Baghdad)、ミャンマーを訪れ、亡命希望者や難民の体験に触れる全3話構成で、28日には第1話が放送予定だ。

 テレビ局が公開した映像には、迫撃砲の音が響き渡る中、6人の出演者のうち3人が走って建物の裏に逃れる姿が写され、案内役の人物が「かがんで、とても低く。この壁の下から出ないように。ここにいることをやつらに知られたくない。やつらはすぐ前にいる」と話している。

 SBSは番組の宣伝で、出演者らが「ISIS(ISの別称)の脅威にさらされている村を守るクルド人兵士たちの案内で、シリアの最前線へと赴いた(…)すると、近くにいたISIS戦闘員から攻撃を受けた」と説明している。

 映像を検証したオーストラリア人セキュリティーコンサルタントで元軍人のジャスティン・バウデン(Justin Bowden)氏は、「人員の配置に関し相当なリスク」があったことや、「適切な管理がなされていなかった」ことを指摘しているが、SBS側は、参加者と撮影クルーの安全は「最優先」事項だったとしている。

 第3シーズンを迎えた同番組は、2013年に国際エミー(International Emmy)賞の「台本なしエンターテインメント番組部門」で最優秀賞を受賞しており、以前にはアフガニスタンやソマリア、インドネシアにも出演者を送り込んでいる。(c)AFP