【7月21日 AFP】国際サッカー連盟(FIFA)のジョセフ・ゼップ・ブラッター(Joseph Sepp Blatter)会長は20日、汚職にまみれた組織の改革案を支持し、自身の後継者を決める来年2月26日の次期会長選には出馬しないと明言した。

 1998年からFIFAのトップに君臨していたブラッター会長は、理事会で提示された改革案を支持したものの、自身の給与を公表するなどの重要な案に同調することを拒否した。

 ブラッター会長はまた、再選を目指すのか何度も問われると、ついに、「私は2016年の選挙に立候補するつもりはない。この選挙は新しい会長を選ぶためのものだ。私は高齢なので、新しい会長にはなれない」と答えた。

 スポーツ界最大の政治的地位をめぐるFIFAの次期会長選には、すでに数人の候補が出馬を計画しているとみられている。

 欧州サッカー連盟(UEFA)の関係者は、元フランス代表のミシェル・プラティニ(Michel Platini)会長が、会長選に出馬するかどうかを2週間以内に表明するとしており、「彼(プラティニ会長)は真剣に出馬を考えている。少なくとも2週間以内には決断して声明を出すだろう」と語っている。

 不正事件を捜査していた米司法当局の起訴に基づき、スイス警察が5月27日にチューリヒ(Zurich)で7人のFIFA職員を逮捕して以降、サッカー界を統括するFIFAに対しては各方面から抜本的な改革が強く求められていた。 

 17年間にわたりFIFAで長期政権を築き上げてきたブラッター会長は、警察の強制捜査が行われた2日後の会長選で5選を果たしたが、6月2日に辞意を表明して周囲を驚かせた。

 ブラッター会長は、次期会長選の日程を決める臨時の理事会後に、「私は良心に従い、FIFAのために何かをしなければならなかった」と述べた。

 FIFAが「荒波」に襲われれていることは、ブラッター会長も十分に自覚している。

 この日の記者会見では、野外音楽祭「グラストンベリー・フェスティバル(Glastonbury Festival)」でラップ歌手のカニエ・ウエスト(Kanye West)のステージに侵入するなど、イベント乱入の常習犯として有名な英コメディアンのサイモン・ブロッドキン(Simon Brodkin)が、ブラッター会長に向かって偽札を投げつけ、警備員に連れ出されるというハプニングが起きた。

 ブラッター会長は、世界各国の政治指導者やサッカー連盟の代表が求める改革に向けた動きを歓迎している。

 独立の作業部会による改革案には、「理事に対する適正審査の強化、任期制限の導入、大陸連盟と加盟協会を含めたサッカー組織の統治水準の引き上げ、さらに報酬の開示」などが含まれている。

 一部のスポンサー企業は、改革委員会の議長には、前国連(UN)事務総長のコフィ・アナン(Kofi Annan)氏のような人物がふさわしいと主張している。

 ブラッター会長は、改革案について「重要だ」と述べたものの、一部の報道陣が要求した自身の給与を開示することについては拒否した。

 今回の臨時理事会は、ジェフリー・ウェブ(Jeffrey Webb)元副会長がニューヨーク(New York)の裁判所に初出廷し、巨額の賄賂を受け取った罪を否認してからわずか2日後に行われた。

 ケイマン諸島出身のウェブ元副会長は、チューリヒで拘束された7人に含まれていた。(c)AFP/Tim Witcher