ギリシャ危機、ユーロ圏が交渉開始を承認 ECBは支援枠を拡大
このニュースをシェア
【7月17日 AFP】ユーロ圏財務相会合(ユーログループ、Eurogroup)は16日、ギリシャに対する金融支援に向けた交渉を開始することを承認した。また欧州中央銀行(European Central Bank、ECB)は、ギリシャの銀行に対する資金供給を増やすと発表した。いずれもギリシャ議会が、債権団から突き付けられた財政改革法案をやむなく可決したことを受けての動きだ。
ユーロ圏19か国の財務相は、ギリシャ議会が税制や年金制度、労働規則などへの大改革に必要となる法案を可決した数時間後に、先週末延々と行われた協議後に出された「ユーロ圏首脳会議の声明で規定されたあらゆる約束がギリシャ議会に受け入れられたことを歓迎する」と発表した。
ギリシャには直ちにその見返りが与えられた。マリオ・ドラギ(Mario Draghi)ECB総裁はドイツ・フランクフルト(Frankfurt)で、困窮するギリシャ国内銀行が切望している資金繰りの支援を拡大すると発表。さらには、国際通貨基金(International Monetary Fund、IMF)が要請している債務軽減を後押しする姿勢を示した。
ギリシャの国内銀行、ひいては同国経済全体の命をつないできたのは、緊急流動性供給(Emergency Liquidity Assistance、ELA)」と呼ばれる制度だ。ELA枠は先月末以降、およそ890億ユーロ(約12兆円)に固定されてきていたが、追加で9億ユーロ(約1200億円)増額されることになった。ドラギ氏が明らかにした。
ELAは、厳密には支払い能力のある銀行に対してしか適用されないことになっており、ギリシャの銀行がこの条件に当てはまるか疑問もある。しかしドラギ氏は、金融支援交渉が前進している今、ELAの上限を引き上げるための条件は「整った」としている。
ギリシャは先に迎えた、IMFに対する債務返済期限を守ることができなかった。次に返済期限を迎えるのは今月20日、ECBに対する42億ユーロ(約5700億円)の債務だ。
これについてドラギ氏は「7月20日にわれわれは返済を受ける」と自信を持って断言し、ギリシャは間違いなくECBとIMFへの債務を返済するはずだという見通しを示した。(c)AFP/Simon MORGAN with John HADOULIS in Athens