【7月25日 AFP】中国・北京(Beijing)にかつてあった巨大な製鉄所「首都鉄鋼集団(Capital Iron and Steel Works)」は数年前に閉鎖され、広大な敷地に立つ施設群は今やゴーストタウンと化している。

 1919年に操業を開始した首都鉄鋼集団は、毛沢東(Mao Zedong)が率いた中国共産党が、貧困国だった中国を急速に近代化させようと試みた時代の「官営模範工場」で、かつては数万人の労働者が働き、中国最大の製鉄所へと成長した。

 だが操業は数年前に停止。今では巨大な工場施設のコンクリート壁は崩れ落ち、そこからまばらに差し込む日光が、地面に散らばるねじれた鉄くずを照らしている。円筒状の溶鉱炉につながる巨大なパイプはさびつき褐色化し、かつて鉄を運搬していた列車の線路は、生い茂った草や朽ちた葉に覆われている。2008年の北京五輪に先立ち、北京市が大気汚染対策に奔走する中、首都鉄鋼集団の工場施設の大半は市外に移転された。そして2011年にはついに生産ラインが閉鎖された。

 ほとんどの建物は、横桁が外されたり切断されたりしながらも、今も当時の外観をとどめたまま立ち並んでいる。赤と白の縞模様で塗装された工場の煙突も、北京市西部の郊外を見下ろすかのようにそびえ立っている。この不気味な雰囲気を写真に収めようと、この跡地を訪れるカメラ愛好家たちが後を絶たない。

 北京市当局は、同じくかつての工場を国の支援でアート地区として再生した市内の「798芸術区」をヒントに、この製鉄所跡地を芸術や観光、さらには金融の中心地へと変貌させる計画を検討している。(c)AFP