【6月17日 AFP】韓国のソウル行政裁判所は16日、同性愛者など性的少数者によるパレードの開催を禁じた警察の措置を無効とする判決を下した。パレードの主催者側が17日、明らかにした。

 警察は先月、首都ソウル(Seoul)で今月末に予定されている「コリア・クィア・カルチャー・フェスティバル(Korea Queer Culture Festival)」のパレードについて、治安上の問題や道路交通の混乱を理由に開催を認めない決定を下していた。しかし裁判所は判決で「集会が禁止され得るのは、公共の秩序を直接脅かす場合に限られる」と述べた。

 フェスティバルの主催者代表のカン・ミョンジン(Kang Myeong-Jin)さんは「私たちはこの判決を歓迎する」「民主社会の一員として、性的少数者の言論の自由も保障されるべきだというメッセージを、裁判所は国民に送った」と語った。

 今回の判決を受け、9日から始まっている同フェスティバルのフィナーレとなるパレードは、予定通り今月28日、ソウル中心部で行われる。主催者によれば、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの人たちなど2万人以上が参加すると予想されている。

 一方、保守的なキリスト教団体はこのパレードに猛烈に反対しており、抗議デモを計画している。昨年のパレードでは、キリスト教徒の活動家らが路上に横たわり行進を妨害する場面もあった。

 韓国では、性的アイデンティティーの問題に関していまだ非常に保守的で、同性愛は「外国のもの」だとみなす風潮が強く、性的少数者の多くがそれを気づかれないように暮らしている。同性愛者の権利を擁護する活動家らは、近年一定の進歩がみられると述べているが、警察によるパレードの禁止は、15年前にこのフェスティバルが始まって以来、初めてのことだという。パレードは近年、参加者が増えていると同時に、批判も集まるようになっている。(c)AFP